喪服は凶服ともいわれており、昔は父母・妻子、親族等の忌服期間は、喪服を着ることが定められていました。忌服期間がすぎて、これを脱ぐことを除服といい、河原や門前で行われたそうです。また、その装いは土地や家風によって異なり、現在のような黒紋付に黒喪帯、小物も黒の装いが定着したのは明治後半以降といわれています。
このように、もともと遺族のみが喪服を着ることが義務づけられていましたが、大正後期から、一般会葬者も喪服を着用するようになってきました。また、遺族も忌服期間中ずっと喪服を着ることをやめ、葬儀の時にのみ喪服を着るように変わってきました。
喪の装いは一般的に、正装・準礼装・略礼装の三つに大きく分かれますが、どの装いにするかは、亡くなったかたとの関係や行事によって変わります。
●正装
・着物
染め抜き5つ紋黒。
・帯
黒喪帯(名古屋帯)。
・小物
帯〆・帯揚げ・バッグ・草履は全て黒で統一します。
●準礼装
・着物と帯
黒喪服に色喪帯あるいは色喪服に黒喪帯の組み合わせ。
・小物
正装と同じ(全て黒)
●略礼装
・着物と帯
無地感覚の着物に黒以外の喪の帯や無地帯を合わせます。
・小物
普段使いから地味な色を選びます。
急な知らせを聞いて枕辺の別れに駆けつけるときは、「喪」を強く意識させるような装いは失礼になります。この場合は地味な色柄の小紋や紬と地味な帯との組み合わせが最適です。
●正式と略式
・略式数珠…お数珠の輪が一重。どの宗派でも可。
・略式二輪数珠…お数珠の輪が二重。数珠の主珠が一〇八個、房が四束からなる。どの宗派でも可。
●本式数珠…各宗派専用になります。
●房の色
色による宗派の違いはありませんが、地域によっては使い分けがあります。東海・北陸地方では、葬儀には、白房で珠も色の付かないもの、法事には色房で珠も色ものを使うところもあります。
●房の形
・頭付房(かしらつきふさ)
・梵天房(ぼんてんふさ)
・切房(きりふさ)
などがありますが、宗派による決まりはありません。
●宗派別数珠
・天台宗…平玉を使用します。主玉108個・親玉1個・四天4個でつくられます。
・真言宗…振分数珠とも呼ばれ、真言宗以外でも用いるので八宗用ともいわれます。
・浄土宗…2つの輪違いのものに、丸カンが付いている日課念仏用の繰り念珠です。
・日蓮宗…母珠一方に3つの房が付いています。これは唱題の数取りの為で10顆の小玉がつきます。
・曹洞宗…親玉・向玉・四天の間に主玉が18個ずつ通してあります。
・浄土真宗…形は浄土宗と同じですが、裏房の結び方が「蓮如結び」と呼ばれる独特のもの。
●弔いの儀礼・法要
人は死ぬと現世でも来世でもない中陰と呼ばれる世界にいき、四十九日かけて冥土の旅にでるといわれ、その間七日ごとに七回の裁判にかけられ、四十九日目に最終判決が下されます。
・初七日~忌明け
初七日(死後7日目)…閻魔大王の裁判の日。よりよい判決が出るようにと供養をします。
二七日(ふたなぬか)…14日目
三七日(みなぬか)…21日目
四七日(よなぬか)…28日目
五七日(いつなぬか)…35日目
六七日(むなぬか)…42日目
七七日(しちしちにち)…49日目→最終判決の日(忌明け)
・忌明け~弔い上げ
百か日忌(100日目)
一周忌(満1年)
三回忌(満2年)
七回忌(満6年)
十三回忌(満12年)
十七回忌(満16年)
二十三回忌(満22年)
二十七回忌(満26年)
三十三回忌(満32年)→弔い上げ
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